おかねはだいじだよ

 大型バージョンアップを経過したドラクエ10。購入時には用途が分からなかった16GのUSBメモリーはこういうことに使われるのかと納得した。そんでもってMMOがどういうゲームかやっと分かってきた。

 どうやらMMOは金や経験値といったキャラクタ強化に関わる数値をインフレさせてはいけないゲームのようだ。貨幣価値の下落は長期で遊んでもらうプレーヤの「飽き」につながる。従って、インフレを防ぐために、敵を倒せば無限に増えていくゴールドをシステム側で吸収していく制度が必要となる。これまでは、電車賃25Gとバザーの取引値5%がそのシステムの主要なものだったが、新要素であるスキル振りなおし10000Gと土地・家・家具の販売開始によって流通するGをシステムが吸収する新しい制度が始まった。http://hiroba.dqx.jp/sc/topics/detail/378f44cac48a091033859b37054b8de7259acbcd/のデータによればプレーヤの平均所持金額は3万Gほどらしい。プレーヤ数を30万人と考えれば、ドラクエ10国民総生産は最低でも90億G以上、武器防具屋での購入や宿屋使用、バザー5%を考慮すると本当は桁が一つ二つ増えるだろう。出来れば全バザー取引総額とか電車利用者数も知りたいところだ。これを公開しないあたりは、運営としても貨幣価値引き上げの程度を知られたくないという思惑が見られる。

 そのへんどうなってるのかおおまかに考えてみた。国勢調査によると倒されたモンスターは約31億匹。1匹あたりが落とすGを10Gと見積り、職人ギルドの依頼によるバイトも考慮して総生産をとりあえず500億Gと考える。対して今回販売された土地の価格は最大50万G。土地の購入に総生産の10万分の1もの費用がかかるということは、現在の日本で言えば家を買うのに50億円かかるということ。最低額の2万に落ちたとしても、現実では一戸建てに2億円払うような感覚だろうか。実に1G=1万円の超円安ゴールド高である。
(ただしRMTは除く。日本円は無いと暮らせないがドラクエでGが無くても誰も死なない、そもそも規約違反の行為という理由で単純比較にはむしろ向いてない)

 また平均所持金額3万というデータにはびっくりした。どう考えても少なすぎる。特に大儲け出来るような狩りを行ったわけでもなく、初期のうちからせっせと棍を作って売りさばく自分のような人間も30万Gの貯蓄ができた。おそらく流通G総額の90%は上位1%のプレーヤが所持しているという、今のアメリカみたいな社会状況にあるっぽい。廃人とそうでない人というプレイ時間自体の格差もあるが、特に新規で始めたプレーヤと、最初から遊んでいるプレーヤとの格差が深刻だ。現在は木工生産品が軒並み供給増加・需要激減という憂き目に会い、生産品が全くさばけない状況である。新しく職人を始めた人で黒字が出る人は稀だろう。これを考慮したのか知らないが、生産品の材料採取量もバージョンアップで激減した。そのため先週と今では一部素材の値段が高騰している。ならば完成品の値段も上がってしかるべきと思うかもしれないが、武器を装備する需要自体はむしろ減っているため、価格は下落傾向だ。最初に割りを食うのはいつも生産者なのだ。

 ごちゃごちゃしたので整理しよう。バージョンアップの内容のうち貨幣価値増加傾向をもたらす変更は、
・土地・家、スキル振りなおしの費用
・スキル振りなおしの一面で、格闘への振りなおしによる武器需要の低下
・新武器登場による現状の武器需要低下
・武具の店買取価格の下落→バザー出品最低額の下落
くらいだろうか。まだあるかもしれない。

 逆にインフレ傾向の変更は
・素材収集ポイント減少
・旅芸人の証で取得ゴールド1.5倍
・バザー出品時に店売り価格を提示→投げ売りの減少による価格上昇

 思いついたのはこのくらいか。結論は、今後もデフレ続行であること、デフレの主要因は武具の需要減ではないかということ。後者が深刻で、今新しい武器を生産できるのは、時間を注ぎ込める廃人及び新しい素材を買って生産が出来る一部の資産家のみ。長期的には全員が現在のトップの生産状況に追いつくだろうが、その時は既に武具需要が終わっており生産品の供給者は軒並み利潤ゼロ。まるでミクロ経済学の教科書みたいな状態になりそう。

 
 そろそろゲームの話をしよう。こういった状況に目を向けなければドラクエ10は大変面白いゲームである。最近の出来事を年表でまとめてみた。

9月初め:ラスボスを討伐。戦士50×2、僧侶50に混じって旅芸人47がそこそこに活躍。殴ったのは1回くらいで常にベホイミ、ザオ、バイシオンに徹する。これは以下すべての狩りで同様。魔法の聖水を10個くらい消費するので金がかかるなと思った。討伐後フレンドが増える。
9月中旬:知らない人に声をかけてもらって「竜のおまもり」というアクセサリを拾うため、ラスボス並に強いドラゴンを延々と狩る。1日またぎ2日間計100体くらい倒したところでゲット。記念撮影をしフレンドが増える。
9月下旬:旅芸人レベル50になる。上のと同じ方にクイーンスライムが落とすレシピ狩りに誘われて参加。こちらは2日間挑んだが失敗。10分に1体しか出てこないのは辛い。上のドラゴンと合わせてまほうの小ビンを200本は使った。
9月下旬2:また同じく、今度は天使のソーマを落とすグレムリンみたいなやつの狩りに参加。こちらはいくらでも出てくるので非常に楽。1時間ほどで6個くらいゲット。大体12000Gの黒字。
9月下旬3:更に同じく、僻地で出てくるゴールドマンを狙う狩りに参加。全然出てこなくて諦めかけたところ、湧いてきた金色のゴーレムがきんかいを落として円満に終了。使い道のないアイテムなのに何故か20000Gで売れる。
バージョンアップ後:レベルキャップ開放クエスト現地にてメガザルロックを延々と倒す狩りに参加。3人中一人だけ先に目的達成してしまい、気を使ってもう1戦挑んだら残りの2人が同時に取得。劇的な幕切れで円満に終了しフレンドが増える。
おとといくらい:単価3000Gくらいのアイテムが何故か60個20000Gで売られているのを見つけ震えながら購入。おそらく金額を一桁間違えた誤発注。見つけてからお金を下ろしに行ってまた帰ってくるあたりがものすごく緊張した。10万G以上の黒字。みんなもバザーにしゅっぴんするときはきをつけよう。


 最後のはともかく、この一連の出来事によって、金儲けはレアアイテム取得で行うものであり職人で金儲けするのは間違いだということにようやく気がついた。身の振り方を考えたいところだが、どんなにフレンドが増えても基本一人で遊んでいるので、多人数が必須の狩りには向いていない気もする。しばらくはほそぼそと木を削る日々が続く。